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旅をする。赴くままに旅をして、通りがかった暖簾をくぐり、カウンター席で酒を呑む。※コロナで旅ができないので、昔の旅についても載せることにしました。

初夏の東京にて江戸三大酒場「鍵屋」「シンスケ」で酒場の底力に触れる旅(3) 2019年7月5日(金)-6日(土)

翌朝76日の土曜日。浅草橋の「東横イン」で目覚めた。

前の晩は上野駅付近でうにさんと別れ,けんじさんと二人で浅草橋まで電車で戻ってきた。

浅草橋駅のすぐ近くでけんじさんとは別れたが,おそらくけんじさんはもう一軒ぐらい呑みに行ったのではないかと想像してみた。

 

カーテンを開けてみると,目に見える限りは雨が降っているようではないが,決して好天と言える天気でもないようだった。

コンビニで買っておいたミネラルウォーターを飲み,シャワーを浴びてから部屋を出た。

 

この日は昼にけんじさんと蕎麦酒をする予定としていたので,その前に引き続き下町をぶらぶらしたいと考えていた。

特にも,高架下や駅へ付帯させた商業施設が上野・神田・秋葉原付近にはいくつかあるので,この一泊二日の旅程の中で見ておきたかったということもある。

 

お目当のひとつめは,上野の「2k540 AKI-OKA ARTISAN」は,秋葉原御徒町間の高架橋にあるクラフトショップが集積する施設で,東京のものづくりを発信するスポットとして注目を集めている。

もう一箇所,「マーチエキュート神田万世橋」は,中央線神田~御茶ノ水間にあった万世橋駅をリノベーションした周辺エリアの活性化を目指す役割を担っているという。

 

と,少し格好つけて昨今の東京下町の新たな動きを見つつ,今回の旅の〆となる蕎麦を楽しもうと考えていた。で,まずは「鍵屋」の御主人に教えてもらったとおり入谷の朝顔市を目指す。

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多くの人でごった返す

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入谷鬼子母神

鶯谷駅まで電車で移動し,少し歩くと言間通り(ことといどおり)沿いに「入谷朝顔市」が催されている。

想像していた以上に人が多く,のんびり朝顔を見て歩くといった感じではない。まあ,歩道に朝顔を並べて,それを訪れた人々が品定めしながら購入する具合なので,狭い上に人の流れも良くはないから,そうなるのも仕方ないだろう。

 

にしても,次々と周りの人々は朝顔を買い求めていく。そして,お目当の朝顔を買った人々は,その朝顔を手に歩いて帰っていく。

そんな光景を見慣れぬ自分からすると,それ自体がとても風情あることに感じられた。

江戸の人々が季節の移り変わりを大切にしている文化が,こういった景観・光景を生み出しているのである。

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秋葉原の高架下2k540

さて,人混みを抜け出し,歩いて「2k540」へ。http://www.jrtk.jp/2k540/

まだ早い時間で,店はどこも開いていなかったので,薄暗い店内を眺めるだけして通り過ぎた。

けれど,それぞれ5,6坪程度のクラフトショップがこんな風に集積しているとは,なんとも素敵な空間ではないか。次回はゆっくりと見て回りたい。

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川沿いのデッキスペースが心地良い

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赤レンガが映える外観

 次に目指すは「マーチエキュート神田万世橋」。https://www.ecute.jp/maach

こちらでは,「常陸野ブルーイング・ラボ」に足を運び,「常陸野ネストビール」を味わうこととした。

 

エスプレッソスタウト(750円)」のレギュラーと「イワシの和風オイルサーディン(580円)」を注文し,神田川の側のデッキ席でゆっくり味わう。

空は梅雨空なれど,風は穏やかで湿気をあまり感じず,スタウトがじんわり身体中に染み渡り一気にいい気分。

国産イワシをじっくりオイルで煮込んだオイルサーディンは,醤油とレモンの加減が絶妙でとても美味しい。

 

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デッキ席というだけで豊かな気持ちになれる

20分ほどのんびり過ごし,けんじさんとの待ち合わせ場所「神田まつや」を目指した。

 ◻︎

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焼鳥の照りが見事

「神田まつや」は満席であったが,うまい具合に数分待っただけで席に通されたわれわれ。

まずは瓶ビール大瓶(750円)で乾杯し,蕎麦味噌・わさびかまぼこ(650円)・焼鳥(800円)・にしん棒煮(800円)・焼のり(450円)をつまみとする。

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潔さを感じさせるかまぼこ

「店内に,東郷平八郎の書があったりするんですよ」とけんじさん。

角度的によく見えないが,たしかに書画が飾ってある。

 

「このあたり一帯は空襲で焼けなかったんで,古い建物が残ってます。もちろん内装とかは新しくしてますけど」と続け,いろいろ教えてもらう。

なるほど,確かに柱や梁や黒光りして,それなりの年月を感じさせる。

 

店内からは職人が蕎麦を打っているのが見え,「とん,とん,とん」と小気味良い蕎麦を切る音が聞こえてくる。

打ち立て,切り立て,茹で立ての蕎麦を味わえるということだ。

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味わい深いにしん棒煮

しかし,ここで東郷平八郎の存在を感じるとは思わなかった。薩摩藩士の日露戦争連合艦隊司令長官

南部盛岡藩出身の企業家・三田義正は,日露戦争の折に火薬商として財をなし,「死の商人」とも言われてきたことを思い出した。しかし三田ら一族は,その財を使い,盛岡の市街地を民間主導開発で発展させ,学校や病院を私財を投じて建て,盛岡の近代化に多大な貢献をしてきた人物だとワタクシ自身は信じている。

 

日本海海戦におけるバルチック艦隊の撃破は東郷平八郎の武勲として知られるが,この時の砲撃戦には三田の火薬も含まれていたのだろうと想像するに,どこか熱い思いが湧いてくる。

 

・・・と話が横道に逸れたが,そんな歴史を持つ「神田まつや」の肴をつまみつつ,けんじさんとぐいぐい呑む。

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焼きのりは香り高い

「けんじさん,昨晩はあのあと呑みにいったんすか?」

「ええ,実はもう一軒。。。」

「わははは,やっぱり」

「なもんで,朝起きれずに朝顔市は断念しました。。。」

「午前中に行くって言ってた神保町の古書漁りはできたんですか?」

「いや,それもできませんで,よろしかったら蕎麦のあとどうですか?」

「おお,いいですねー,楽しそう」

 

などと話しつつ,ビールから燗酒「菊正宗(700円)」を二合もらう。

 

「この蕎麦味噌,よくないですか?」

「いや,旨いす。甘みもいいし,蕎麦味噌の食感もたまらんです」

600円でお土産も買えますんで」

「お,では,買い求めることにしましょう」

 

蕎麦味噌も良いが,かまぼこもにしん棒煮もいい。

相席で,二人並ぶ形でテーブル席で燗酒をちびちび楽しみながら,徐々に酔っていく。

 

甘くジューシーな焼鳥もとても良く,ほんのり甘い「菊正宗」に合う。

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喉越し抜群の蕎麦

〆にもりそば(650円)をそれぞれ注文し,一心不乱に手繰って,蕎麦湯をいただいたら蕎麦呑み終了。

いい気分になって店を後にした。

 

 ◻︎

 

神保町の古本屋巡りは楽しかった。

「酒と料理の古本に関しては随一です」という古本店は,何時間いても飽きないであろう品揃えで,そしてどれもこれも欲しくなるから困ってしまう。

 

これだから,古本屋にはあまり近づきたくない(笑)

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希少部位ソリレス

そんなこんなで,神保町のあたりでけんじさんと別れ,ワタクシは一人東京駅へ向かった。お土産やらなにやらを買い求め,少し時間があったので,北町ダイニングにある「本家 あべや」にて,「新政 No.6 S-Type」を呑みつつ比内地鶏のソリレスをいただく。

 

新幹線に乗り込み,ちょっと呑み足りないので,ハイボールを一本空け,iPadで映画を観つつ盛岡を目指したが,いつしか寝落ちしていた。

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「わしゅ」にて

盛岡に到着したのが夕方6時近く。

すっかり酔いが醒めたので,旅の仲間の一人照井さんの店「わしゅ」の暖簾をくぐり,日本酒を呑みつつマンボウの酢味噌乗せをいただく。

 

「東京はどうでした?」と照井さんに訊かれたワタクシは,「も,最高でしたね」とにんまり笑ってみせ,盛岡で一番旨い燗酒をぐいっと呑ってみせた。