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旅をする。赴くままに旅をして、通りがかった暖簾をくぐり、カウンター席で酒を呑む。※コロナで旅ができないので、昔の旅についても載せることにしました。

猛暑北国・横手で呑む。酒場レベルが高く,またまた横手が好きになった夜。 2019年8月10日(土)-11日(日)

朝,寝苦しさで目覚めると雨だった。

午前6時少し前の空はだいぶ暗く,窓から流れ込む風はひんやりしており,前日までほぼほぼ猛暑日のような暑さが一週間くらい続いていたので,その風はとても心地よく感じられた。

 

猛暑の最中,横手へ遊びに行くことにしていた。

横手には今年3月に足を運んでいるから,5ヶ月ぶりということになる。

https://tabi-ki.hatenablog.com/entry/2019/03/17/151342

 

横手は岩手と西和賀町で接する秋田県境にあり,人口は87,000人弱の秋田県内では秋田市に次ぐ人口を誇る地方都市だ。

 

盛岡同様に横手もさぞ暑かろうと思い天候をチェックすると,大雨による災害警戒レベルが相当高いということがわかった。

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横手の大雨情報

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横手の災害発生レベル

これはやばいな,とは思ったものの,とりあえず様子を見ながら移動しようと考えて,とりあえずシャワーを浴びて荷造りをした。

で,9時半過ぎに自宅を後にし,東北自動車道を南下。

 

すると,花巻を越えたあたりから大粒の雨が落ち始め,それが段々と強まって,まさに「災害級の豪雨」とも思えるような雨となった。

ワイパーは全力全開であるが,雨の量がすご過ぎて,何度も視界が失われそうになる。

2年前の九州で,大型の台風と遭遇した時のような悪天候だった。

 

北上ジャンクションから西へと向かう秋田道に入っても,大雨は続く。

どの自動車も,タイヤが水溜りにとられ,水しぶきを上げながら走るものだから対面走行はそのしぶきを浴びながらのものになり,その度にどきりとする。

 

が,横手に近づくほどに雨脚は弱まり,しまいには止んで青空が見えてきた。

やれやれと胸をなでおろし,横手市の南隣にある湯沢市まで移動して「佐藤養助 総本店」を目指した。

 

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創業150周年のおりに総本店は建てられた

11時半ぐらいに到着すると,席は8割がた埋まっており,先客はのんびりと美味そうにうどんをすすっている。

ワタクシは,かけうどんと比内地鶏がセットになった「比内地鶏ご飯セット(1100円)」をいただく。

 

総本店は初めてではあるが,隣県秋田の名物である稲庭うどんは何度も食べたことがあって,比内地鶏ご飯とのセットにしてみたのだが,このご飯が限定品ということもあろうか,なかなかの一品。

鶏メシ系の話で言うと,だいぶ前にシンガポールにて現地友人に連れて行かれた,観光客が足を運ばないようなディープな店で食した海南チキンライスを食べたとき以来の満足感。

単品メニューをみるとご飯茶碗ぐらいのヴォリュームで440円とかなので,まあちょっと高いかなぐらいではあるが,比内地鶏の旨味が凝縮していてとても美味しかった。

 

うどんはと言うと,予想していたとおりの美味しさで,「うむうむ,これこれ,慣れ親しんだ佐藤養助ブランドだね」という安心・安定感。

流石の品格と喉越しと熟成感。いわゆる関西のうどんとは異なるが,間違いなく美味しい。

どうでもいいのだが,数年前に中洲川端で食べた「かろのうろん」も美味かったなと,店を出た後に思い出した(笑)

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ハガレンはやっぱいい

今年5月にリニューアルオープンした,「横手市増田まんが美術館」へ足を運ぶ。

国民的アニメ

manga-museum.com

が開催されていると言うので。

 

 

原作は未読,アニメは「Hulu」で観ていたので,思い返しながら展示を眺めると徐々に記憶が蘇ってくる。

ジャンルはダークファンタジーなのだが,非常にヒューマンな場面が多い作品であり,この日も原画を観ながら,ところどころ胸にぐっとくる。

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真ん中のマスタング大佐が好き

そう,ご当地出身の漫画家といえば,あの矢口高雄先生であり,「釣りキチ三平」などはアニメでも漫画でも幼い頃から繰り返し繰り返し観て読んできた。当然,この美術館の創設・運営にも矢口先生が関わっている。

 

そういえば,「明日はきっといい日になる」のシンガーソングライター高橋優も横手市出身である。

ううむ,横手,恐るべき人材の宝庫,と思いつつwikipediaでさらに調べると,「編集王」「ありゃ馬こりゃ馬」の漫画家・土田世紀,女優の壇蜜なども横手出身。

 

時代をずっと遡れば,1000年ぐらい前の平安の時代に陸奥の安倍一族を前九年の役で源氏と結託して破った清原氏などもこのあたりの豪族だった。

まあ,清原氏はその後,いろいろあって後の平泉を京都以上のにぎわいとした奥州藤原氏の開祖・藤原清衡安倍氏とともに源氏と戦った藤原経清の子であるが清原家で育っている)と源義家によって滅ぼされることとなったのだが。このへんの歴史,ほんと複雑でドラマティック。

 

なお,安倍一族の末裔で総理を経験しているのは,盛岡市出身の米内光政(第二次大戦終結に尽力した政治家),現時点の首相である安倍晋三の2人と言われている。

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ばくろうちょう,と読むらしい

この日の宿は,もはや定宿化しているプラザグループの「ホテルプラザアネックス横手」であり,温度47度,毎分720リットル自噴の天然温泉で汗を流してから横手一番の繁華街中央町を目指す。

日中はやはり気温がぐんぐん上がり,午前中は災害レベルの大雨が降っていたなどと思えない猛暑となった。

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料理一品目

予約しておいた「粋場」は,オープンして4,5年らしいが,すでに横手ではなかなか予約が取れない店となっているらしかった。

料理3品,おでん6品のセット2,000円を注文し,酒は地元の「天の戸 Land of Water 純吟 生」をいただく。天の戸の夏酒。

しかし,去る7月30日に天の戸を醸す浅舞酒造の森谷杜氏が急逝されたと聞いたときは本当に驚いたし,本当に残念だと思った。

美味し酒で,森谷杜氏献杯した。

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でん六品盛り

おでんの出汁は非常に上品で,昆布の旨味が効いてタネを食べるペースよりも出汁をすするペースが上がる。

猛暑続きだったからだろうかエアコンがフル稼働していて,その風がワタクシに直撃したこともあり,温かいおでんがありがたかった。

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料理二品目

秋刀魚のオイル漬けをトマトソースで煮たもの。

秋刀魚の脂をトマトの酸味が流してくれて,そこにチーズのコクがまじわりシンプルだが複雑な味わいの品。

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燗酒が旨い

酒は同じく浅舞酒造の「天の戸 まる燗 きもと」を熱燗で。

エアコンの冷風で,やはり少し肌寒いので,外は猛暑であるが熱燗が旨い。

とろりと甘みが出るこの酒が,すいすいと進む。

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料理3品目

最後の料理はローストポーク。しっかりとした肉質と程よい脂で,燗酒ともよく合う。

燗酒おかわりとして,「天の戸 美稲 美山錦 特別純米」をぬる燗でもらう。この日は浅舞酒造で通す。

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魚介の昆布締め

 少し物足りなかったので,昆布締めを追加し,燗酒のお供とする。

昆布の旨味を吸った蛍烏賊,牡蠣,甘海老,びんちょう鮪となると,酒に合わないわけがない。

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ポットスチルShibata

「粋場」を出たワタクシだが,体が冷えていたのでいったんホテルに戻り温泉で体を温めた。

真夏とは思えない行動だが,まだまだ呑みたかったので,いったん小休止である。

 

横手で予約を取れない店として「粋場」と人気を二分する「とぶ」に寄ってみると,店内大混雑で,この日は予約で一杯だという。

ではでは,と隣の「ポットスチルShibata」へ入る。もともと最後はここと決めていたオーセンティックバーだ。

 

ジントニック,スイカウォッカトニックと呑み,まだ30代前半だというオーナーバーテンダー柴田氏と世間話をする。

柴田氏は,先代から店を引き継ぎ,若くしてオーナーを務めているとのことで,3月に足を運んだ横手駅近くの「絆BAR」は兄弟子とのことであった。

 

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やっぱり小腹が空いていた

塩豚のマスタード添えを食べつつ,オールドパーウイスキーソーダ

カクテルも美味しいが,フードもなかなかに良い。

柴田氏の軽妙な会話を楽しみながら,先客のいないバーでオーセンティックバーの醍醐味を味わう。

 

〆の一杯は,最近好きなグラスホッパー

こちらも隙のない完成した一杯で,満足しながら店を後にした。

 

本当に,訪れるたびに横手が好きになる。