tabi-ki47

旅をする。赴くままに旅をして、通りがかった暖簾をくぐり、カウンター席で酒を呑む。※コロナで旅ができないので、昔の旅についても載せることにしました。

呑み記007「新規開拓イタリアンで黒トリュフたっぷりのピッツァを」

さて,気づけば2020年呑み納めの最後の一軒は,偶然酒場のカウンター席で隣り合った女性と最近オープンしたらしいイタリアンレストランを訪れることになった。

彼女はだいぶ酒が強いらしく,足取りも話し方も顔色もまったくもって,そこらの酔っ払いのそれではない。

 

一方,自分はというと,バーからスタートし,日本酒を三合ほど呑み,それからのもう一軒なので,余力があるといえばあるが,そろそろ限界が近いといえば近いようにも思えた。

 

ともあれ,最近オープンしたというイタリアンレストランに入ると,なんと出迎えてくれた店主は見知った人。

 

「あれ?」

「いらっしゃいませ。。。お,なんでなんで?」

 

「いやー,来てくれてありがとう。嬉しいよ」と促されて店の一番奥のテーブル席に通される。

レモンサワーを注文し,店主から開店までの経緯などをざっくりと聞きながらメニューを受け取る。

 

すぐに届いたレモンサワーで乾杯したわれわれは,フードメニューに目を通し頭を悩ませた。どれもこれも美味しそうなのだ。

  

が,正直わたしはそれなりに腹具合苦しくなってきたので,フードのチョイスは目の前に座る,一緒に来た女性にお願いした。

 

「えーっとですね,この“黒トリュフたっぷりピッツァ”っていうの食べてみたいんですが,どうですか?」

 

悩みに悩んだ末,彼女がそんな風に尋ねてきたので,「いいですね,それいきましょう」と答えて店主に注文しつつ,空いたレモンサワーのグラスを返しつつ赤のビオワイン2人前を一緒にオーダーした。

 

「ワイン,普段呑まれます?」

「あ,けっこう好きですね,ほぼ毎日呑みますね。どうです? 家でも呑みます?」

「あーー,わたしもなんです」

 

そうだろうな,と彼女の気持ちの良い呑みっぷりをみながら思った。

 

届いた黒トリュフがたっぷり乗ったピッツァは申し分のない旨さだった。

 

「美味しい! トリュフの香りがすごい!」

 

その声を聞いて店主は,またまた,にこにこと微笑んでみせた。

 

「生地の焼き加減も絶妙でしょう。そしてなんといっても,惜しげもなく乗せた黒トリュフ。わたしもこのピッツァが大好きなんです」

 

ビオワインをお替わりして,世間話をして,会計をして店を後にした。

お互い近所なので,途中まで一緒に歩き,「んじゃ,またどこかで」と言って別れた。