旅の仲間であり兄貴分であるイクミツさんが盛岡に来た。この日の夜、ちょっと呑もうかということになっていたのだが、予定より早く着いたので「蕎麦ひっかけながら、ちょち呑もうぜ」ということになり、八幡町にある「蕎麦将軍」を訪れた。
イクミツさんは「墨廼江」を、わたしは「春霞」をもらい、お通しの漉き昆布煮物、蕎麦前の蕎麦味噌と板わさをちびちび。
「お蕎麦、ちょうどいいときに声かけてくださいね〜」と毎度毎度、とても感じの良い女性店員。
こちらの店、コロナ禍前にオープンして、そしてコロナ禍になって大変な時期を過ごしたのだと思うが、この日も昼時は満席。われわれはたまたま座れた形だ。
コロナによる社会変容の中で、わたしの暮らしも少しばかし変わり、昼酒は止めるようになった。かつては土日祝日ともなれば、「昼酒上等、お天道様が顔を出してるときに呑む酒サイコー」だったのだが、基本的には止めた。
が、たまーにこうして昼酒を少し呑ってみると、昼酒は実に旨い。日が暮れてから呑む酒も当然旨いが、明るいうちに呑む酒は、体への沁み方が違う。なんというか、細胞や神経がアクティブ状態にあるせいか、アルコールへの反応が早いような気がする。
つまり、少量で酔える。
イクミツさんは「鴨汁蕎麦」、わたしはスタンダードに「もり」をいただく。喉越し良く、蕎麦の香りが芳しい一枚。きりりとして鰹出汁のつゆとよく合う。
大沢河原の超人気点「やまや」で腕を磨いた御主人が打つ蕎麦は、やはりいついただいても旨い。
コロナ禍になる前は、大晦日の夜にこちらで年越し蕎麦を食べたものだ。また、あんな日常が戻ってきてはくれぬだろうかと思いつつ、どろりとした蕎麦湯を大事にいただいた。